【最終4位】竜王戦2024予選使用構築 ミライフロルチオン

構築概要

ミライドン@突撃チョッキ 氷
207-x-121-182-154-158
イナズマドライブ ボルトチェンジ テラバースト ミラーコート

キラフロル@エレキシード 毒化粧/フェアリー
190-x-156-150-101-107
パワージェム マジカルシャイン どくどく どくびし

チオンジェン@食べ残し 炎
192-x-167-x-155-91
イカサマ やどりぎのタネ まもる みがわり

結果

レート1823.750 最終4位 31勝7敗

ルールの考察

まず今大会の通常と異なる特殊ルールのおさらいと、それによってどういったゲーム展開になるかを考える。

見せ合いなし3vs3

マッチアップを自分の環境への理解や練度で選出を合わせて対応したり、その前提で構築を組めないルールなので、不利な相性を覆す手段が少なくなりやすい。

ミライドンorコライドン絶対採用&選出

素早さ種族値が同じで、テラスタルする前はお互いが弱点を突き合うことができる。
伝説同士の対面では相性関係が曖昧すぎるため、同速やお互いの型やテラスタルの噛み合いに勝敗が左右されやすい。

この2点を考えると、通常のシングルバトルの定石が通用しにくいルールであると考えた。
運ゲー、じゃんけんなど簡単な言葉で済ませるのは楽だが、そんな中でも高い勝率を出す方法を見つけないと上位は目指せないので、まずはこのルールのゲーム性を自分なりに言語化することに取り組んだ。

構築経緯

以上の考察を踏まえて、今回の構築が完成するまでの過程を振り返る。

まず、今回のルールならではの特徴を更に深掘りし、自分がどういう構築を使えば勝てそうかを考えた。

自分が未知のルールに取り組むときは、自分の脳内環境を必ず理論立ててちゃんと他人に説明できるようになるまで対戦経験を積み、その上で理想の構築を作ることにしている。
なのでまずは、自分がこのルールのことをどう思って、その結果どういう構築を使えば勝てると思うのかを言語化することから始める。

コライドンは使わない

予め用意した3体しか使えないという点から、テラスタルを柔軟に切れる構築にすることで対応範囲をできる限り広げ、マッチアップの不利をできるだけ減らしたい。
なので炎テラス状態以外ではパワーが落ちやすいコライドンを使うと、取り巻きがテラスタルをうまく使えないパターンが増えるので、コライドンは使わないことに決めた。

毒びしを強く使う

ミライドン、コライドンを絶対採用し、選出しなければならないという点から、毒びしが最低でも1体には通る点に注目した。
もっと言えば、ほとんどの構築で強い勝ち筋になるようなエース級のポケモンにほぼ確実に毒びしが通るということになる。
毒びしで伝説枠を安定して倒せるルートを確保できる構築であれば、同速勝負やテラス択に付き合わされるシーンが減ると考えた。

ということで、以下の3つの条件を満たす構築が、このルールで安定した勝率を出せる構築になりえると自分なりに結論づけた。

・ミライドン
・毒びし役
・毒びしを活かすことで伝説+αに戦える

伝説枠の対処

次に、相手に必ず採用されている伝説枠の対処について考える。
ミライドン、コライドンの両方にある程度強い並びを作らないと、単純に伝説のキャラパワーでゴリ押されてしまう展開が起きてしまうため、このルールでは必須要素だろう。

今回は自分がミライドンと毒びしを必ず自分の構築に採用するという前提の上で考えていく。

対コライドン

コライドンは炎+ドラゴン+格闘の広い範囲で殴るのがシンプルに強い上、ミライドンvsコライドンは耐性の都合上お互いが不毛なテラス択に悩まされることになる。
なので、ミライドンvsコライドンの対面では引き先を用意しなければ安定した勝率は見込めないと考えた。

つまり、毒びし役かもう一匹の穴埋めで対コライドンを兼ねる必要がある。
毒びし役としてはキラフロル、ドヒドイデ等が候補に挙がる。

対ミライドン

ミラーで有利なミライドンの型はそんなに難しくないが、どんな型を選んでもお互いの型やテラスタルの噛み合い次第で負けてしまうパターンは存在する。
なのでこちらも毒びし役かもう一匹の穴埋めでミライドン受けを兼ねるべきなのかと考えたが、どうやらコライドンよりも現実的では無さそうだった。

まず対ミライドンをある程度安心して任せるには、ボルトチェンジの存在から電気無効の耐性が必要になる。
その上、コライドンよりもテラスタルの選択肢が多様なことから耐性だけで対処するのが難しい。

毒びしを覚える中でミライドン対策になりえるポケモンの候補のうち、ドオーはミライドンの型次第で返り討ちにあったり、ガラルヤドキングはそもそも地面テラスタルを切らないとボルトチェンジで逃げられて一方的にサイクルに負荷をかけられてしまう。
以上の理由から、毒びし役と対ミライドンを兼ねるのはあまり現実的でないように感じた。

受け+毒びしは強くない

これまでの思考を整理すると、ミライドン+コライドン受け+ミライドン受けの良くある形に毒びし要素を取り入れると良さそう。
特にミラコラ+ハピナス+ヘイラッシャのような構築は仲間大会でも上位の成績を残しているのは知っていたので、構築のアーキタイプとしては既に確立されているほうの並びだった。

が、個人的にこの組み方に毒びしの要素を組み入れるのはそんなに強くないと思った。
なぜかと言うと、伝説受けを高い水準でこなせるポケモンが毒びしを覚えないため、受けの性能としては1〜2ランク落とさないといけなくなるからである。

例えば、対コライドン枠のヘイラッシャをドヒドイデに変えたり、対ミライドン枠のハピナスをドオーやグライオンに変えるなど、キャラパワーを少し下げたとして、毒びしのおかげで勝てる構築には勝てるが、受けの性能を落とした側の伝説+毒びし耐性のある一般ポケモンのような構築には単純に勝率を落としているだけになる。
キラフロル+コライドン、ミライドン+オオニューラなど、この要素を満たした構築は幾らでも存在する。これらの構築とマッチングした瞬間負け濃厚になる構築の形は、本来自分が目指す形ではない。

なので今回の毒びし構築に関しては、当初のミライドンでミライドンを見る形が最も対応範囲を広くできるのではないかと考えた。

ミライドンの型

次にミライドンの型を決め、構築段階の対ミライドンの動き方のベースを考えることにした。

まず、先ほど対ミライドンの難しさを説明するときに挙げた、①ボルトチェンジ、②テラス択の2つを解消できるミラーコートを覚える点に注目した。

ミラーにおいてボルトチェンジで逃げられたとしても、交代先が悪タイプでなければ、反射+その後の攻撃で倒せるくらいのダメージソースにはなる。また、ミライドンからの攻撃を耐えさえすればテラスタル関係なくミラーコートで返り討ちにでき、裏のポケモンで詰めていくことができる。
ミラーコートを活かす持ち物は襷かチョッキが候補に挙がったが、持ち前の特殊耐久を伸ばす事でハバタクカミ+ミライドンのような並びまで対応できるチョッキにすることにした。

この方法で対処できないのは、①強化アイテム流星群、②瞑想の主に2つだが、①はミラー時の行動の定石としてフェアリーテラスマジカルシャインが数も多く、メガネ流星群などを打つのはリスクが大きいため、そもそも選択される回数はそんなに多くないだろうと考えた。
②は状況次第でミラーコートが通ってどうにかなるパターンもあると思い、最終的には「いい感じの場面でミラーコートが噛み合わなかったら負け」と割り切ることにした。

毒びし枠と穴埋め

次に「毒びし枠」と「毒びしを活かして伝説+αと戦える枠」を選定する。

穴埋めに必要な要素

インターネット大会が延期されるまでは「襷毒びしオオニューラ」+「地割れまもみが眠るヘイラッシャ」で参加するつもりで、毒びし対策がないコライドン構築には高い勝率を出せていた。
しかしこの並びを使っていくうちに、ハピナスやヘイラッシャなど、極端に伝説に強い代わりに伝説の片方にしか役割がないポケモンを採用すると、相手の取り巻きによってはほとんど2vs3で戦うのを要求される場合があることに気がついた。

例えば「チョッキミラコミライドン+襷オオニューラ+地割れ1ウエポンヘイラッシャ」と「ハバタクカミ+テツノツツミ+ミライドン」のマッチアップでは、ヘイラッシャの役割はほとんどゼロに近い。
つまり、オオニューラとミライドンの2体で戦わないといけなくなってしまう。

また毒びし構築は、他の構築と比べて毒びしを使う1〜2ターン分のロスがあり、毒びし役が毒びしを撒いただけで倒されることも少なくない。
(先ほど例に挙げたマッチアップでは毒びしを撒く必要性はそんなにないが)

毒びし構築というだけで実質的に数的不利を背負っていると言えるのに、毒びしを活かして戦う一般枠が伝説に刺さっていないとなれば試合が成立しない。

これらの懸念点を解消するには、毒びしを活かして戦う一般枠は、伝説の両方にある程度強く弱すぎないポケモンが相応しいと考えた。

毒びし役に革命

先ほど説明した通り、毒びし構築は毒びしを使う1〜2ターンのロスがあるが、キラフロルの毒化粧はその限りではない。
よくあるキラフロルは襷を持って初手に出し毒びし展開を狙うものだが、特性の発動には物理技で殴られる必要があり、初手のマッチアップによっては毒びしが撒けないパターンも多く存在するため、構築段階から敬遠していた。

大会数日前にA0(@A0tter_)と通話していた際、「初手ミライドン+エレキシード軽業毒びしオオニューラ」の構築を見せてもらい、ミライドンが苦手な物理にエレキシード持ちを後出しする立ち回りの可能性について気付かされた。
この立ち回りは、毒びしを撒くターンを使う相手を物理相手であればある程度好きに選ぶことができる点が、初手に毒びし役を置くパターンと比べて優れていると感じた。
しかし結局物理相手にエレキシードオオニューラを後出ししたところで、毒々か毒びしの良くて2つ程度の選択肢しか取ることができないまま倒されることが多いので、大した差ではないと思った。

それからしばらく毒びし役を試行錯誤してるうちに、キラフロルにエレキシードを持たせれば、A0のオオニューラの良い所を残しながら、キラフロルを食わず嫌いしていた原因を解消できるのではないかと考えた。

キラフロルはHB特化+エレキシード発動まですれば、強化アイテムを持たないコライドンのインファイトや逆鱗を2発耐えるほどの物理耐久になるため、ミライドンからの引き先としては十分機能する。
また初手にチョッキミライドン、裏にシードキラフロルと置くことで、特殊はミライドンで打ち合う、物理はキラフロルで毒びしを撒きながら受けるというような再現性が高い展開を作ることができる。

構築の軸がチョッキミラコミライドン+シードHBキラフロルに決まった。

穴埋めを決める

構築の軸が定まったところで、最後の穴埋めを選定する。
これまでの考察で得られたこの枠に必要とされている要素は、ミライドン、コライドン両方にある程度強く弱すぎない、毒びしを活かして戦っていけることだった。

このルールで「毒びしを活かして戦う」に当てはまる戦術は①まもみが、②高耐久再生持ちぐらいだろう。
環境でよく見るポケモンだと、①はグライオン、②はドオーやクレセリアが当てはまるが、どれも直近の仲間大会である程度の数を増やしていた挑発ランドロス、毒テラスクレセリアにミライドンを含めたとしても勝つのが難しい。
そのため、新たなポケモンを開拓することにしたところ、チオンジェンが必要な要素を満遍なく満たしつつ、従来の毒びし構築では勝つのが難しい範囲にも勝てる可能性が高いことから採用に至った。

これで構築が完成となるが、この形に辿り着いたのが大会本番前日の夜だったため、仲間大会などで試運転することができなかった。
しかし相手の構築を見て「これは勝てる」「これは勝てない」とルールや構築の性質上判別することができたため、別の構築で仲間大会に参加しイメージトレーニングした結果、ほとんどの構築に有利が取れていると判断した為、本番で使用した。

個別の調整意図など


ミライドン@突撃チョッキ 氷
207-x-121-182-154-158
イナズマドライブ ボルトチェンジ テラバースト ミラーコート

調整意図
C205ミライドンのハドロンエンジン込み流星群を確定耐え ~206
C187ハバタクカミのムーンフォースを約99.61%で2耐え
最速霊獣ランドロス抜き
余りC

その他
ミライドン+ランドロスのような構築に強くなる氷テラバースト。
構築上対策を完全に切っているグライオンに勝つ唯一の手段でもある。
グライオンにはテラスタルを切らないといけない都合上、グライオン+コライドンの並びには絶対に勝てない。


キラフロル@エレキシード 毒化粧/フェアリー
190-x-156-150-101-107
パワージェム マジカルシャイン どくどく どくびし

調整意図
(エレキシード発動後)
A205コライドンの日緋色の鼓動込みインファイト/逆鱗を2耐え
A165霊獣ランドロス地震を12/16で耐え(目安)

その他
コライドンに対して生存率を高めるフェアリーテラスタル
炎テラスコライドン、霊獣ランドロスの身代わりを壊せるパワージェム。


チオンジェン@食べ残し 炎
192-x-167-x-155-91
イカサマ やどりぎのタネ まもる みがわり

調整意図
HB特化

その他
コライドンのフレアドライブや、ハバタクカミやミライドンのフェアリー技に耐性がある炎テラスタルを選んだが、採用意図でもある挑発ランドロスに強いという要素を完全に失念していたため、水テラスタルのほうが絶対に良かった。
炎テラスタルを選んだせいで、コライドン+地面タイプのような構築が重くなっている。
エントリー前に気づけていたはずなので、考察不足を感じた。

対戦録画

今大会の対戦内容を全てYouTubeにアップしました。

www.youtube.com